<メッセージ8>
 ポジティブなことばから

 1970年代のテレビCMの話です。男性歌手が「感激」と叫ぶインスタントカレールーのCMがゴールデンタイムに流れていました。それが、お正月になると「おせちに飽きたらカレーもね」というキャッチコピーに変わりました。極めて新鮮なコピーで、実際、売上げも急増したそうです(ちなみに、女性アイドルグループが振袖姿でレトルトカレーを宣伝するときは「おせちもいいけどカレーもね」と言っていたように記憶します)。
 今日は、この「飽きたら」について考えてみましょう。「飽きる」というこことばは、「多すぎたり、同じことが長く続いたりして、いやになる」意味だと説明されています。「いや」というネガティブな感情を含んでいるのです。お正月を彩るためにせっかく用意されたおせちに対するネガティブな評価は、加工された食材の命への畏敬や技を発揮した調理人への敬意を損なうことになりはしないでしょうか。
 CMは自社の商品が他社より優れていることを訴求して他社との競争に勝つためのものなので、このような表現も許されるのでしょうが、私たちのコミュニケーションに他者をネガティブに評価することばはふさわしくないと考えます。なぜなら、ことばの中に他者に対するネガティブな評価が含まれていると、自分の考えや思いを、ネガティブな評価を与えられた人も含めたたくさんの人と共有することがむつかしくなるからです。これではわかちあいと連帯を築くことはできません。よって、ネガティブな評価を含まないポジティブなことば選びが大切です。もしお正月にカレーを食べたくなれば、「おせちを十分に堪能したからカレーね」と言ったらどうでしょう。「飽きた」というよりもずっと理解を得やすいのではないでしょうか。
 マザー・テレサ(Mother Teresa, 1910〜1997年)のことばのひとつに「ことばに気をつけなさい、それはいつか行動になるから」というのがあります。他者に対するポジティブなことばを使うように努めていたら、それが他者を尊重する行動を引起こし、やがては人々が互いに敬愛しあう社会ができるということでしょう。ポジティブなことばからすべてが始まります。だから、まずは、ポジティブなことばをたくさん集めましょう。よい文章をたくさん読んでポジティブなことばのボキャブラリーを増やしていきませんか。








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