<メッセージ7>
 子どもをほめることはむつかしい?

 近年は、ほめる効果に関する海外の調査結果が知られるようになって、わが国でも「ほめ育」といって子どもをほめることが推奨されるようになりました。しかし、ほめることをむつかしいと感じている人は多いのではないでしょうか。
 無理もありません。江戸時代の儒学者 貝原益軒が著した教育論「和俗童子訓」に「人に三愚あり。我をほめ、子をほめ、妻をほむる、皆是愛におぼるる也」とあるように、ほめることを否定する考えがわが国に伝統的にあったからです。ほめるべきことがあっても、言わずとも伝わるとも考えられていました。
 愛をもってほめることが愚かなこととして否定されているわけですから、客観的に見てよほど優秀なことや善良なことがない限り子どもをほめられないことになります。こういう経緯もあって、めったにほめない習慣ができてしまったと思われます。
 ここはひとつ考え方を変えてみましょう。ほめるというのを、大人が子どもの優秀さや善良さを評価する行為だと考えるのではなく、大人も子どもも同じ立場に立って感謝を伝え合う行為と考えるのです。言わずともおのずと伝わると考えるのではなく、ことばにして積極的に伝えようと考えるのです。例えば、帰宅した子どもが郵便受けから新聞を持ってきてくれたとき、すぐさま「新聞を持ってきてくれてありがとう」と言いましょう。「新聞を持ってくるとはよいことをしましたね」というような社会規範などを規準にしたほめ方ではなく、自分の感謝の気持ちを表現するのです。これなら、子どもが特別によいことをしなくてもほめられますね。
 こういうほめことばを繰り返していると、子どもの中に、人が喜ぶことをしようという動機づけが形成されるでしょう。そして、自分ができるちょっとしたことを通じて他の人を支援することができるようになって行くのではないでしょうか。NLFは、さまざまな特質を持った子どもたちの間で連帯とわかちあいを実践することを目指しています。その第一歩が、ちょっとした気遣いとそれへの感謝を互いに交換するところから始まると考えるのです。








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