<メッセージ4>
 リードしないリーダー

 YMCAでは、子どもたちの指導に当たる人を一括してリーダーと呼んでいます。リーダー(leader)という言葉の意味を辞書で調べると、先導者・指導者・指揮者・統率者などという説明が出てきます。一般的にはこのような意味で使われているのでしょう。しかし、YMCAの活動において、リーダーはメンバーに対してそのような存在なのでしょうか。
 ふりかえってみると、アメリカのYMCAで青少年活動が体系化されたのは、第2次世界大戦の不穏な足音が聞こえ始める1930年頃のことでした。世の中が次第に全体主義に染まっていく風潮の中で、それに流されずに、社会に主体的に関わる青少年を育成し民主主義を守ることが重要だと考えられました。そして、青少年にグループの意志決定や共同生活を体験させることが、相互理解に基づく民主的な行動のトレーニングとして有用だと考えられたのでした。こうして始められたのが青少年のグループ活動でした。そのための理論的支柱としてデューイ(John Dewey,1859〜1952)の経験教育論が、支援手法としてコノプカ(Gisela Konopka,1910〜2003)らのソーシャルグループワークが取り入れられました。戦後、わが国でも、戦争を回避できなかった反省から、同様の考えに基づく青少年活動が導入され、現在に至るまで息長く続けられています。
 このようなグループ活動の意味を考えると、メンバーを統率したり先導するリーダーは、百害あって一利もないことがわかります。リーダーは、メンバーの相互理解に基づく民主的な行動が主体的に発生するように後押しする、支援者でなくてはなりません。だから、グループワークでは、例えば○○さんと□□さんの相互理解を深めようとするときに、直接に○○さんに□□さんと交流するように指示するのではなく、楽しいプログラムを進める中でおのずと○○さんと□□さんの交流が深まるように運営するのだと説いています。
 そこで、NLFでは、プログラムを決定したら、メンバー一人ひとりについて「パーソナルケアシート」を作ります。プログラムのどの場面でリーダーがどのような支援行動をとるかをあらかじめ計画して共有するのです。動物にたとえるのは失礼とは思いますが、優れた牧羊犬は、羊が自由に進んでいるうちにおのずと目的地に向かうように、後ろから行動します。こういう動きをあらかじめ用意しておくことにより、リードしないリーダーが実現するのだと考えます。
 今後、NLFでは意欲ある中高生の継続的参加が期待できます。リーダーがリードするのではなく、中高生を核としたメンバーの主体的な活動をサポートできるNLFを目指して参ります。









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